コミュ力の話

今日はコミュ力の話について書こうと思います.コミュ力ないと進学しても死ぬという話です.

コミュ力

ここではコミュ力を,「他人に対して,双方の立場をわきまえ,礼儀を持って積極的に関わることができる」力として定義する*1

進学した先でコミュ力が必要となる場面

会議のバンケット(懇親会)

修士に上がると,国内研究会,運のいい人は国際会議に行くことになるかと思う.その際,会議のバンケットをどのようにお過ごしだろうか.

  1. 参加しない
  2. 同じ研究室 or 近場の研究室で固まる
  3. たまたま近くにいた人と話す
  4. 色んな人に積極的に絡んで行く
  5. 偉い先生にぶっ込む

僕は国内・外ともに基本は2.と3.という感じだろうか.国内研究会とか小さい集まりだと頑張って4.5.くらいまでやるが,まだ積極的に4.や5.という感じにはなってない.バンケットは,博士後期課程学生のみならず修士学生にとっても重要な役割を果たす.たとえば「M1です!」とか「D2です!」とかアピールすると,たまに企業の方あるいは大学の先生方から「うちこない?」と誘ってもらえることがある.この際,知らない人に話しかけるわけで,当然礼儀を持って接する必要がある.また積極的に話しかけて自分のことを売っていかないと,上述のようなお誘いなどくるはずも無い.したがって,バンケットではコミュ力が非常に重要となる.書いてて耳が痛い.一つだけ経験的なコツを披露すると,割と歳を召した先生方には,若さを前面に出す形でぶっ込んでいくと,かわいがっていただける(気がする).

企業インターンシップ

進学しない場合であっても,M1の夏に企業インターンに行く人は多いかと思う.進学すると,たとえば海外インターンであったり,あるいは国内でも長期のインターンに参加することもあるだろう.インターン参加に際しては,企業のウェブサイトからの通常エントリ,あるいは研究職の場合,直接お会いした際,あるいはSNS上で参加を表明する場合もあり*2,いずれにしてもその際にコミュ力が必要となる.あるいは,長期間にわたって外部の企業に出入りすることになる場合,そこでさまざまな方々と知り合うことになるので,その際にもコミュ力が必要となる.僕はM1のインターンでは主に後者でしくじってつらい感じになった.あと,実はD1前期に某海外研究所のインターンに応募したのだが,最終の電話面接で落ちた.今思い出してもひどい受け答えをしてしまった.コミュ力の欠如である.

共同研究

上の企業インターンシップは主に学生個人と企業の関わり合いであるが,共同研究になると大学(研究室)と企業の関わり合いになる.しかるに,自分の置かれた立場を良く理解した立ち振る舞いが重要になる.また,しばしば実動部隊である学生が板挟みになることもあるので,この辺をうまく立ち回る必要がある.

勉強会

近年,技術系の勉強会がブームである.勉強会とは,ある決まった分野に関して論文紹介や輪講,あるいはハッカソンなんかをする集まりである.学術会議と比較して参加費が非常に安いor無料であり,参加ハードルが非常に低い点が特徴の一つである.勉強会ではコミュ力が非常に重要であり,誰かが何かしら発言(質問とか)しないと,発表者がぼそぼそとしゃべり続けてまばらな拍手がおこるだけのお通夜状態が非常に簡単にできあがってしまう.勉強会関連の話が出るたびに言ってる気がするが,勉強会は学術会議と違って「知らない」「分からない」ことに関して非常に寛容なので,とにかく何でも良いので質問しよう.

ウェブ上の情報発信

これは僕の所属するコンピュータサイエンス系コミュニティに限ったことかもしれないが,SNSでの交流は非常に盛んである.SNSでは相手の顔・声が観測できず,反応もリアルタイムに返ってこない.また,知らない人に話しかけられる機会もたまに訪れる.その際,適切な応答をするためには非常に高いコミュ力が必要となる.これがうまくできると,会議などで「あ,(twitter id) さんですね〜!!」みたいな感じで最初のハードルが低くなるなどの恩恵があるし,これがうまくできないと,最悪の場合社会的に死ぬ.特に,自分の身分を明かしている場合は細心の注意を払わねばならない*3
余談だが,修士・博士課程に関わらず,研究活動をしている限りにおいては,自身のウェブページはちゃんと整備しよう.よく言われることだが,英語ページも作っておくと良い*4.所属と興味のある分野だけでもいいと思う.自分に興味を持ってくれた人が自分を検索してきたときに,快く迎え入れるためである.これもまたコミュ力の一つであろう.

研究とコミュ力

話す内容がなければ,そもそも話ができない.そんなとき,上に挙げた数場面に関して言えば,研究内容について話をするのが一番手っ取り早いのでよい.それでは,研究内容についてどういった話をすればよいか?理想的には,「自分がどういう分野で研究をしていて」「その分野ではどういうことがチャレンジングで」「自分のテーマはどういう立ち位置にある(からこういうコントリビューションがあって,しかるに面白い研究だ!)」ということが言えると良いのだと思う.僕も時間を持て余したときとか,良くこういったことを考えるようにしている.またこれは,「立場をわきまえる」ということの一側面かと思う.それでは,研究内容についてしっかり話をできるようになるにはどうしたらいいか?自分で書いてて非常に耳が痛いが,やはり日頃から研究活動するしかない,といったところだろうか.

なぜコミュ力が必要となるか

ヒューマンネットワークを広げるために必要である.上の数場面は,いずれもうまく立振舞えばヒューマンネットワークが連鎖的に広がる場である.そういう場面においてヒューマンネットワークを積極的に広げる努力をすれば,良い巡り合わせに出会い,自らの進路も自ずと開けてくる.個人的に,研究活動は研究者にとって必要条件であるが,十分条件でないのだと思う*5

知らない人に話しかけるのは恥ずかしいし,現に僕も尻込みして話しかけられない,ということがよくある.しかし,礼儀を持って人と接する限りにおいて,悪い関係にはそうそうならないだろうし,みんなでコミュ力鍛えていきましょう!

*1:余談かつ個人的見解だが,僕には就職活動においてコミュ力が必要とされる理由が「就職活動においてコミュ力が必要とされているから」であるように見える.結局,どのような力が,なぜ必要とされているのか,もう一つよく分からない.

*2:僕がD1の時に参加したインターンは,Twitter経由で応募した.

*3:自分の身分を明かすことには,メリットもデメリットもある.何が適切かについては議論の余地があると思う.

*4:一度,ウェブページ経由で海外の企業からヘッドハンティングがきたことがあった.

*5:というような話をこの前教授としていたところ,「研究成果がよければそれで良い,人間性は関係ない,という生き方もある」という話も出て,まあそうかもしれないと思った.ただ,それをするには非常にタフな精神力・多くの研究業績が必要となるため,多分コミュ力つける方が手っ取り早く,簡単だろう.